文献詳細
症例検討
右側腹部有痛性腫瘤の診断をめぐつて—第5回東大分院泌尿器科臨床検討会より,1975年5月9日,於東大分院臨床講堂
著者: 横山正夫1 岩動孝一郎1 東京大学医学部泌尿器科教室
所属機関: 1東大分院泌尿器科外来
ページ範囲:P.735 - P.741
文献概要
中村昌平(分院助手) 症例は61歳の男子で,当科受診の主訴は右睾丸の疼痛と腫脹です。しかし,よく話しをきいてみると血尿,右側腹部痛があつたという症例です。既往歴,家族歴に特記すべきことはありませんが,兄弟に肺結核で死亡した方が多いそうです。これまで大きな病気を知らず元気に働いていた方ですが,49年11月に肉眼的血尿が1回あり,頻尿,排尿痛もありました。その後間もなく右睾丸にふれると痛みを感じ,しだいに大きくなつてきた,といいます。これは初診時には鶏卵大になつていました。近くの診療所を受診し,泌尿器科受診をすすめられたのですが放置していたところ,今年の3月になつて血尿が1回だけありました。その後,飲酒した際,右下腹部が痛くて歩けないということもあつたそうです。1975年4月18日当科初診で,主訴は陰嚢内容の腫脹ですが,理学的所見で腹部に腫瘤を触知しましたので,IVP,DIPなどが行なわれ,右の水腎症は間違いなくあるだろうということで5月1日に入院しました。
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