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雑誌目次

雑誌文献

臨床泌尿器科30巻1号

1976年01月発行

雑誌目次

図譜・453

3年間に増大した尿管腫瘍の1例

著者: 白井千博

ページ範囲:P.4 - P.5

 症例 F.U.,73歳,男子。
 主訴 血尿。

図譜・454

巨大前立腺部尿道結石の1例

著者: 河田栄人 ,   江藤耕作 ,   行徳公昭

ページ範囲:P.6 - P.7

 症例 Y.U.,51歳,男。
 初診 昭和50年2月24日。

綜説

尿路の発癌物質

著者: 吉田修

ページ範囲:P.13 - P.20

はじめに
 一般に尿路とよばれる腎杯,腎盂,尿管,膀胱,尿道より発生する癌にはいろいろな意味で共通した要素が多い。尿路の発癌物質については,膀胱癌のそれを論ずることにより尿路癌の発癌物質を論ずることになるといつても本質的に誤りではないといえよう。
 さて膀胱の発癌物質について解説する場合,いろいろな面からの試みが可能であろうが,筆者は次のことを念頭において本文を書いた。第一は膀胱の化学発癌研究の歴史を記述し,その研究の流れの中に臨床医学がはたした役割と今後はたすべき課題をくみとることができるようにすること。第二は膀胱の発癌物質について,泌尿器科医にとつて必要と思われるものを記述すること。第三はこれらの発癌物質を用いての実験モデルについて検討し,いかなるものが尿路癌の臨床において必要とされているかについて考察することである。

Urological Letter・179

Ⅰ.癌;そのfollow upすべき期間は何年か/Ⅱ.女子の膀胱憩室

ページ範囲:P.20 - P.20

 移行上皮癌のfollow up期間を決めることは難かしい。このW.U.C.Letterでも前に論じられたことがある。最初の5年間は3ヵ月に一度膀胱鏡検査をする,もしその間に再発がなければ,次の5年間は6ヵ月に一度とし,その間に再発がなければ,それ以後はずつと年に一度の検査をしてゆくべきである。再発したときは上記の計画を初めからやり直す,ということであつた。
 筆者は1960年に52歳の男子患者の,一つの小腎杯粘膜から生じた腎盂の移行上皮癌を診,腎尿管全摘出術を行なつた。病理検査で腎杯からの乳頭状移行上皮癌で浸潤性であり第Ⅱ度と分つた。

原著

外傷性腎破裂を起こした先天性水腎症の1例

著者: 西沢理 ,   宮川征男 ,   桑原正明

ページ範囲:P.23 - P.27

はじめに
 各種の疾患を有する腎が,正常腎に比較して外傷により損傷を受けやすいことはよく知られている1)。今回われわれは,軽度外傷により腎破裂を起こした先天性水腎症の1例を経験したので報告する。

経大腿動脈カテーテルによる腎動脈拡張で軽快した腎血管性高血圧症の1例

著者: 田利清信 ,   団野誠 ,   杉下和夫

ページ範囲:P.29 - P.34

緒言
 腎動脈撮影後に軽度の血圧降下を経験している人は少なくないと思われるが,われわれは両側腎動脈狭窄性高血圧症(大動脈炎症候群)に腎動脈撮影を2回施行して,腎動脈狭窄が拡張され,降圧および臨床所見の改善がみられた1例を経験し,4年6ヵ月を経過したので報告する。

先天性腎動静脈瘻の1例

著者: 宮川征男 ,   桑原正明 ,   高橋睦正 ,   綿貫勤

ページ範囲:P.35 - P.39

緒言
 腎動静脈瘻は比較的まれな疾患であり,現在までに約150例が報告されているにすぎない。
 本症は先天性あるいは後天性にわけられるが,先天性としたものについては後天性とする原因が認められなかつたことをその根拠とするものが多い。組織像から積極的に先天性としたのはこれまで数例に過ぎず,その先天性とした根拠を詳細に報告している例はない。

異所性ADH分泌過剰症候群と思われる低Na血症の1例

著者: 横田武彦 ,   青木俊輔 ,   星野嘉伸

ページ範囲:P.43 - P.49

緒言
 本来内分泌臓器でない組織より発生した腫瘍が特定のホルモンを産生する異所性ホルモン産生腫瘍は,その特徴的臨床像から興味のもたれる疾患であり,最近各種の異所性ホルモン産生腫瘍が報告されている。われわれは前立腺肥大症と肺癌を合併した低Na血症の1例を経験し,的確な診断がつかないまま死亡後の再検討により低Na血症の成因が肺癌による異所性ADH分泌によるものであつたと推測された。本症は泌尿器科領域での報告が極めて少ないので文献的考察を中心に述べてみたい。

腸間膜嚢腫,Grawitz腫瘍を合併し,肋骨転移を来した右腎原発の血管線維肉腫の1剖検例

著者: 山際裕史 ,   細井哲 ,   関口和夫 ,   松井公生 ,   大串典雅

ページ範囲:P.51 - P.55

はじめに
 腎に発生する腫瘍の中で,良性腫瘍は稀ではないが,普通は無症状で剖検時に発見されることが多い。一方,悪性非上皮性腫瘍(肉腫)は極めて稀である。
 本稿は,右腎に発生した血管線維肉腫の左第9肋骨への転移を初発症状とし,右腎にはGrawitz腫瘍を合併していた極めて稀で,盲腸間膜にも腸間膜嚢腫を合併していた症例を経験したので報告する。

腎移植の感染予防に対する患者管理—第5回国際移植学会と北里大学病院の患者管理について

著者: 遠藤忠雄 ,   酒井糾 ,   小柴健 ,   内田久則 ,   柏木登

ページ範囲:P.57 - P.60

 腎移植において,免疫抑制剤療法は不可欠であるということは衆知の認めるところである。この免疫抑制剤に起因する合併症,特に感染に対する抵抗力の低下は重大な問題である。National Kidney Rcgistryの報告1,2)にもあるように,移植患者の死亡原因は,単一原因によらないにしても,敗血症に罹患した症例は47%にも達している。ここで第5回国際移植学会がイスラエルのエルサレムで1974年8月下旬に開かれ,work shopでControl of Infection in Transplantation Patients3)が取りあげられたので,患者管理について世界の状勢と北里大学のそれを対比して検討してみた。

盲管に終わる二分尿管の1例

著者: 小屋淳 ,   山中英寿 ,   志田圭三 ,   桑原稔

ページ範囲:P.65 - P.68

緒言
 盲管に終わる二分尿管(Bling ending bifid ureter)は泌尿器科的奇形の中で極めて稀な疾患である。最近われわれは,18歳男子において本症を経験したので若干の考察を加え報告する。

副睾丸,睾丸梅毒および前立腺梅毒の1例

著者: 平野章治 ,   田尻伸也 ,   小林龍吉 ,   北川正信

ページ範囲:P.69 - P.73

 最近,われわれは前立腺肥大症に梅毒性副睾丸,睾丸炎および梅毒性前立腺を合併した1例を経験したので報告する。

In Vitroにおける犬睾丸組織のHCGに対するtestosterone産生について

著者: 白井将文 ,   光川史郎 ,   石井延久 ,   中村護 ,   米沢健三

ページ範囲:P.75 - P.78

はじめに
 内分泌学の分野では最近各種ホルモンのrece-ptorの局在がしだいに明らかにされており,このreccptorを抗体の代用として用いホルモンの測定,すなわちradioreceptor assayが一部のホルモンの測定で実用化されつつある。
 睾丸についてもFSHやLHの測定に既に応用されているが,いまだgonadotropinの測定の主流はradioimmunoassay(RIA)であり,radio-receptor assayはいまだroutineな検査法になつていない。それはFSHのrcceptorの局在が,Sertoli cellにほぼ間違いないであろうということがごく最近明らかにされた段階であり,睾丸に関してはいまだ不明な点が多いためである。

文献抄録

腎腺癌の転移巣に対するホルモン治療

ページ範囲:P.39 - P.39

 限局性腎腺癌の場合には最近の診断と外科手術法の進歩によつて,5年10年の生存率の上昇は顕著であるが,転移のある時には予後は極めて悪い。Bloom(1964)が初めて進行性腎癌に性腺ホルモンを用いて以来,その治療効果について種々報告されている。著者らは1969年から5年間に38症例の転移のある腎腺癌を2群に分けて,ProgesteroneとAn-drogeneをそれぞれに投与してその効果について観察結果を報告している。
 第1群の20例については,Andro-geneとして毎日20mgのFluoxyme-stcroneを8ないし12週間使用,第2群の18例には毎日300mgのMedroxy-Progesteroneを分割して8週間使用した。38症例中1例を除いてすべてホルモン投与前に腎摘出術を施行している。この腎摘術においてはいずれの症例も転移巣の縮少などは認められなかつた。効果の判定としては他覚的に有効としたものは転移病巣が20%以上縮少したと考えられるもの,不変は8週間のホルモン投与で転移病巣にまつたく変化の認められないもの,自覚症の改善としては治療によつて全身状態の好転,体重増加,病巣には他覚的変化はないが,疹痛などの緩解したものとした。観察結果としては,Progesterone群では他覚的有効例は1例もなかつたが,3例に自覚症の改善が認められた。

小さな工夫

カテーテル・マンドリン

著者: 田宮高宏 ,   高塚慶次

ページ範囲:P.79 - P.79

 新しい型のカテーテル・マンドリンを工夫し作製した。太さはFr.8〜12の5本組で,長さは60cm,先端はDittel氏尿道ブジーと同じ形である。狭窄箇所のある尿道や腎瘻に,比較的太いカテーテルを留置しようとするとき,このマンドリンを用いると,カテーテルの内径に適合した番数のものを選ぶことができるため,従来のマンドリンを用いた場合よりも確かな感触で作業を遂行できる。また,ストッパーをつけてあるので,カテーテルの長さ、先穴の有無を問わず使用することができる(付図)。
 尿道や腎瘻の処置を行なう際に,かなり太い金属ブジーで通路をsonudすることができるにかかわらず,ゴムまたはラテックス製の軟かいカテーテルがうまく挿入できないという場面に泌尿器科医はしばしば遭遇する。とくに問題なのはできれば比較的太いカテーテルを留置したいという場合である。

随想

教授生活23年余

著者: 南武

ページ範囲:P.80 - P.81

 満65歳となり昨年3月末で教授職から退いた。やめるまでに片付けておかねばならないこともわかつていた。ところが昨年末まで付属病院長を二期4年間もやつていたし,他の用事もあり,あと片付けもほとんどできないままに終わつてしまつた。したがつて2月14日の最終講義のための準備も思うようにはならなかつた。研究生活を主にした思い出を話したわけであるが,そのうちの主なるものの骨子を書いてみよう。
 教授になつた時のことを述べておくと,外科の助教授で5年間青戸分院にいたが,泌尿器科の医長の田那村浩君(私と同期)は診断はしたが病身のため手術は全部私がやつていた。しかし,私自身の泌尿器科学的知識は学生時代に得たもの以上には何歩も出ていなかつた。ところが昭和26年1月渡辺一郎教授が亡くなつたので,私に後任になるようにという薦めが間もなく持ちあがつた。外科への興味の方が大きかつたし,泌尿器科学の自信もなかつたのでおことわりした。当時の樋口院長から時をおいて3回も薦められた。ところがその年の暮になつて病理の教授だつた同期の故高木文一君から話があり,引き受けようかという気になつた。半年でも良いから東大に勉強に行きたいと申し出たが駄目だといわれた。外国にやつて欲しいという願いもまた斥けられた。やむなく他日を期してひとまず引き受けることになつた。当時菅田 茂という講師が残つていたので,この人を頼りにまず診療を始めた。

基本情報

臨床泌尿器科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1332

印刷版ISSN 0385-2393

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