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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科30巻10号

1976年10月発行

シンポジウム 下部尿路感染症の再発要因をめぐつて

はじめに

著者: 名出頼男1

所属機関: 1名古屋保健衛生大学医学部泌尿器科学教室

ページ範囲:P.834 - P.834

文献概要

 再発性膀胱炎はやや曖昧な広がりを持つ疾患群である。単純急性症は自然治癒傾向強くabortive infectionに終わつたり,病像完成後も早期に自然治癒に至る率は低くない。再発性症は,恐らく化学療法が登場して総ての治癒経過が短縮されるようになつて始めて判然と姿を見せたものと考えられ,治療に対する反応は単純急性症とほとんど変わらないが,しばしば同じ症状で発症して来るものをいうもののその総てが単純急性症のごとく,比較的揃つた基盤に立つたものとはいい難い。われわれは今回のシンポジウムを行なうに当つての申し合わせとして,年1回以上再発を見るものをこの名で呼ぶこととした。膀胱炎発症の季節変動なども考え併せ再発症の範囲をこの程度にとることは将来の研究発展のため便利な点も多いと考えられる。
 一般に感染症のとらえ方としては,治療まで含めるとhost-parasite-drug relationshipが成立するので,それぞれの組合せ(三組)の検討が必要となるが,再発性症について,その要因をとらえようとすれば,宿主側要因がより大きな比重を有するようになるのは当然といえよう。治療に用いた薬剤種間の再発抑制効果の差は現在われわれの持つ成績だけで云々し得るものでなく,また菌側要因についても,一部の著者が触れられたごとく単純性非再発性症と再発性症の起因菌間に特に分類学上の差のあるものは見出されていない。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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