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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科30巻12号

1976年12月発行

手術手技

サンゴ状結石の手術(4)—腎切石術における腎実質一層縫合

著者: 田口裕功1

所属機関: 1国立相模原病院泌尿器科

ページ範囲:P.1027 - P.1029

文献概要

 サンゴ状結石の保存的手術として,広範囲腎盂切石術と腎切石術とがあり,必要に応じて腎部分切除術を適応とする人もおります。血行の遮断を行なわず手術を実施できる広範囲腎切石術(Gil-Vernet法)1)で総てのサンゴ状結石の摘出が可能であるならば,この手術こそ,理想的なものであります。しかし,この方法が総ての腎結石の適応ではなく,腎切石術の適応例も少なくありません。腎部分切除術は腎機能の存在する腎実質の切除に割り切れないものを感じ,結石の形状や存在部位によつては適応することはできません。臨床では,諸検査の段階で,サンゴ状結石の形状,腎盂と腎杯との相互関係から腎切石術の適応例はわかるものであります。ここでは経験し,考え,改良し,約10年をついやして完成させた腎実質一層縫合につき述べることにします2,3)。この方法による臨床例は約50例になります。初期の約20例は太い血管の結紮を併用しましたが,その後の30例以上は血管の止血・結紮を行なわない純粋な腎実質一層縫合で手術を行ないました。
 心拍出量の約5分の1が腎を通過し,その量は1分間で約800mlになります。その90%以上が腎皮質を流れ,その皮質はほとんど結合組織を有しておりません。これは腎皮質がその機能をはたすために豊富な酸素と栄養などを必要とするためであります。これは損傷などに対し良い条件では旺盛な修復力を,悪い条件下では壊死などを起こしやすいことを意味します。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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