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雑誌目次

雑誌文献

臨床泌尿器科30巻2号

1976年02月発行

雑誌目次

図譜・455

尿管結石を伴つた傍腎性仮性嚢胞

著者: 白神健志 ,   大熊晴男

ページ範囲:P.88 - P.89

 患者 33歳,主婦。
 主訴 左上腹部の腫瘤形成。

図譜・456

巨大水尿管症の乳児例

著者: 高橋剛 ,   寺島和光

ページ範囲:P.90 - P.91

 患者 58歳,女子。
 主訴 腹部腫瘤。

図譜・457

膀胱・前立腺結石の2例

著者: 八木拡朗 ,   天野拓哉 ,   平田弘

ページ範囲:P.92 - P.93

 【症例1】 71歳,男性。
 主訴 頻尿。
 既往歴 約3年程前,某泌尿器科にて尿管結石の手術。

図譜・458

女子外傷性尿道断裂

著者: 徳原正洋

ページ範囲:P.94 - P.95

 症例 14歳,女子中学生。
 主訴 歩行不能,外陰部出血。

綜説

細菌性ショックの臨床

著者: 玉熊正悦 ,   石山賢 ,   和田信昭

ページ範囲:P.101 - P.111

Ⅰ.細菌性ショックとは
 突発的な衝撃や外傷その他のストレスに伴つて発生する生体機能の広範な乱れを漠然とショックと総称している。実際の臨床で生体がショック状態にあると判断する徴候には,顔面蒼白,四肢冷感,脈拍微弱,頻脈,乏尿,不穏状態などがまずあげられるが,客観的指標の具体的な限界としてたとえばWilson1)は,①血圧80mmHg以下,②尿量25ml/hr以下,③心拍出量2.5l/m2/min以下,④standard bicarbonate 20以下,⑤血圧維持に昇圧剤必要の5項目のうち3項目以上が該当するものとした。このショックの原因には,疼痛や恐怖におそわれて突発し副交感神経刺激状態ないしvasovagal reflexの前面に出る一次性ショック(vegctative syncopeや神経性ショックの名称もほぼ同義)と,出血(hemorrhagicまたはhypo-volemic shock),心筋硬塞(cardiogenic shock),感染などで発生する二次性ショックとがある。この最後の感染によるショックを細菌性または感染性ショック(bactcrial or scptic shock)とよんでいる。

文献抄録

再発性膀胱癌の化学療法

ページ範囲:P.111 - P.111

 一般に膀胱癌は膀胱あるいは骨盤内に病巣が限局していれば,外科的または放射線療法などの併用で治療するのが普通である。しかし,癌が再発したり広範転移を来した場合に患者の状態を改善させるには化学療法にたよらざるをえないが,著者はこのような症例にCytoxanとAdria-mycinをそれぞれ単独または併用投与を行なつてその効果を検討して報告している。
 患者は49例でいずれも以前に膀胱癌の治療をうけて移行上皮癌の局所再発または遠隔転移巣のある症例で,年齢は51歳から90歳に及んでいる。症例を3群に分け,第1群の21例は3週間に1g/m2のCytoxanを投与,第2群は10例で3週間に75mg/m2 Adriamycinを計500mgまで投与,第3群は18例で3週間に40mg/m2 Adriamycinと200mg/m2/day Cytoxan週4日を3週間併用投与した。各群の症例のStageはAからDまでなるべく均等に分けて薬効を検討できるようにした。また以前の癌治療についても,外科手術,放射線治療,TURなどが行なわれているが,これを均等に配するよう考慮した,化学療法剤投与中の患者については毎週血球検査,血液化学検査を行ない,3週毎に尿細胞診,3ヵ月毎に内視鏡,胸部検査を施行した。

シンポジウム

尿路変向,とくに回腸導管の諸問題(1)

著者: 舟生富寿 ,   岩動孝 ,   加藤哲郎 ,   田崎寛 ,   松本恵— ,   寺田雅生 ,   斉藤博

ページ範囲:P.113 - P.128

はじめに
 司会 舟生富寿(弘前大)
 尿路変向手術は,泌尿器科領域では極めて重要であり,本邦泌尿器科学会最近の10年を顧みても,総会では第55回に九大,百瀬俊郎教授による代用尿路についての特別講演,第56回に東大,高安久雄教授司会によるシンポジウム,尿路変向,第59回には新潟大,佐藤昭太郎教授による宿題報告,尿路変向術が行なわれており,この他東部,中部,西部の各連合地方会においても特別講演,シンポジウム,円卓会議の形で幾度か検討されている。

原著

血液透析により母子ともに救命できた急性腎不全の1例

著者: 根本良介 ,   桑原正明 ,   杉山好広

ページ範囲:P.133 - P.137

はじめに
 出産後の急性腎不全に対し血液透析を施行した症例は数多いが,妊娠中に急性腎不全を合併し,血液透析により母子ともに救命できた症例はきわめてまれである。
 われわれは妊娠34週に急性腎不全を合併した妊婦に対し血液透析を施行し,母子ともに救命できた症例を経験したので報告する。

Zuckerkandl器官に発生した副腎外褐色細胞腫—電顕的観察

著者: 恒吉正澄 ,   古郷米次郎

ページ範囲:P.139 - P.144

緒言
 褐色細胞腫は副腎髄質のクロム親和性組織あるいは副腎外のクロム親和性組織から発生する腫瘍で,比較的まれであるが,とくに副腎外に発生する褐色細胞腫は極めてまれである。私どもは43歳の婦人の後腹膜の下腸間膜動脈起始部のZucker-kandl器官に発生した副腎外褐色細胞腫の剖検例を経験し,電顕的に腫瘍細胞内に分泌顆粒を証明することができたので報告する。

結石を合併した尿管瘤の1例—本邦における尿管瘤の統計的観察

著者: 加藤弘彰 ,   安達国昭 ,   堀米哲

ページ範囲:P.145 - P.151

 わが国の尿管瘤症例は1975年6月現在252例をかぞえる。年間10例前後の症例報告があり,稀な疾患とはいえない。
 尿管瘤の統計は数編の報告をみるが,IVP所見,合併率の高い尿路結石など重要な問題の検討を欠くごとく,必ずしも十分な内容とはなしえない。

陰嚢内脂肪腫の1例

著者: 小路良 ,   南孝明 ,   佐々木忠正 ,   菅谷公平 ,   中村憲司

ページ範囲:P.155 - P.158

 陰嚢内に発生する腫瘍はしばしば経験されるが,そのほとんどが睾丸,副睾丸あるいは精索と関係のある腫瘍である。われわれは小児に発生し,それらの臓器と直接関係のない陰嚢内脂肪腫の1例を経験したので報告する。

陰茎折症の3例

著者: 今村一男 ,   吉田英機 ,   斉藤豊彦

ページ範囲:P.159 - P.162

緒言
 陰茎折症とは多くの場合,勃起した陰茎に鈍性外力が加わることにより,陰茎海綿体,稀には尿道海綿体の白膜が断裂するために起こるもので,比較的稀な疾患である。
 当教室においても1965年中西ら1)が本症の1例を報告したが,その後さらに3例を経験したので追加報告するとともに,本邦における症例を集計し文献的考察を加えた。

横浜市立大学医学部泌尿器科における1969〜1973年の5年間の尿路奇型患者の統計的観察

著者: 窪田吉信 ,   公平昭男 ,   高井修道

ページ範囲:P.163 - P.166

緒言
 近年,先天奇型症例およびそれに合併する各種疾患についての報告が多くみられるが,尿路奇型のみについての統計学的観察の報告は比較的少ない。著者らは横浜市立大学泌尿器科における1969年から1973年までの5年間における尿路奇型について臨床統計学的観察を行なつたので報告する。

東北大学医学部泌尿器科学教室における陰茎癌の統計的観察

著者: 光川史郎 ,   石井延久 ,   白井将文

ページ範囲:P.167 - P.172

緒言
 陰茎癌は他の泌尿器系の癌に比して少なく,たとえば当教室では開設以来膀胱癌を490例も経験しているのに対して陰茎癌はわずか30例を経験したにすぎない。これら30例のうち10例については既に宍戸ら1)が報告しているので残る20例について統計的観察を行ない若干の文献的考察を加えてここに報告する。

Urological Letter・180

Ⅰ.尿管結石の治療にバリダーゼの応用/Ⅱ.吸引性膀胱炎の予防としてカテーテルドレナージのIn・lineventing

ページ範囲:P.158 - P.158

 アメリカ泌尿器科学会西部地方会で数年前バリダーゼによる尿管結石の治療法に関する展示があつた。小結石からやや大きい結石まで30個のうち29個を自出させることができたという趣旨のものであつた。バリダーゼを鎮痛剤と共に用いていた。この薬剤の投与は結石による炎症性反応や浮腫を減退させ,一層容易に結石を下行させることになると考えられる。それによつて結石を抽出することもまた容易になる。バリダーゼを用いた例では結石の抽出成功率も用いないものより高率でもある。通常,毎6時間にパリダーゼ2錠宛投与する。

基本情報

臨床泌尿器科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1332

印刷版ISSN 0385-2393

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