文献詳細
文献概要
綜説
細菌性ショックの臨床
著者: 玉熊正悦1 石山賢1 和田信昭1
所属機関: 1東京大学医学部第1外科学教室
ページ範囲:P.101 - P.111
文献購入ページに移動突発的な衝撃や外傷その他のストレスに伴つて発生する生体機能の広範な乱れを漠然とショックと総称している。実際の臨床で生体がショック状態にあると判断する徴候には,顔面蒼白,四肢冷感,脈拍微弱,頻脈,乏尿,不穏状態などがまずあげられるが,客観的指標の具体的な限界としてたとえばWilson1)は,①血圧80mmHg以下,②尿量25ml/hr以下,③心拍出量2.5l/m2/min以下,④standard bicarbonate 20以下,⑤血圧維持に昇圧剤必要の5項目のうち3項目以上が該当するものとした。このショックの原因には,疼痛や恐怖におそわれて突発し副交感神経刺激状態ないしvasovagal reflexの前面に出る一次性ショック(vegctative syncopeや神経性ショックの名称もほぼ同義)と,出血(hemorrhagicまたはhypo-volemic shock),心筋硬塞(cardiogenic shock),感染などで発生する二次性ショックとがある。この最後の感染によるショックを細菌性または感染性ショック(bactcrial or scptic shock)とよんでいる。
掲載誌情報