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手術手技
再生を利用した膀胱拡大術
著者: 田口裕功1
所属機関: 1国立相模原病院泌尿器科
ページ範囲:P.279 - P.287
文献購入ページに移動1970年より膀胱自体の再生力を利用した膀胱拡大術を実施している。これらの症例は1975年までに国立相模原病院に入院したものである。これらは結核による種々なる病状を呈した13例の萎縮膀胱患者と一定の手術適応にもとついた膀胱腫瘍患者の8例で,一時期のみ薄い和紙を核とした合成樹脂の人工材料を膀胱の補填材料に使用するための手術を実施したものである。いずれの症例も満1年以上の観察を行なつたもので,1症例を除いてこの手術の目的である自然の排尿を可能とすることができた。しかし,再生の点からみて萎縮膀胱の症例中で自然排尿が不可能であつた1症例を含めて2症例のみは満足な膀胱再生ではなかつたが,この原因も明らかにすることができた。良好な成績を示した症例中には常識では自然の排尿など考えられない病的な状態のものも含まれていた。ここでは独自の手術体系で実施している再生を利用した萎縮膀胱に対する拡大術について述べることにする。
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