文献詳細
症例
尿道下裂と単睾丸症の認められたXO/XY/XYY性染色体異常の1例
著者: 坂義人1 堀江正宣1 河田幸道1 西浦常雄1 野々田力2
所属機関: 1岐阜大学医学部泌尿器科学教室 2岐阜大学医学部小児科学教室
ページ範囲:P.531 - P.536
文献概要
常染色体と同様,性染色体の異常も,数的異常と構造的異常に分けることができる。数的異常の多くは精母細胞(spermatocyte)の減数分裂時の不分離(meiotic non-desjunction)の結果異常配偶子が形成されて引きおこされる。しかし,受精後の卵割時にも不分離のおこることがあり,この場合は同一個体中に2種類以上の異なるkariotypeを有するモザイクとなる。この結果,出現する身体的異常は多岐にわたるが,それは不分離発生時期により各karyotypeの占める比率が異なるためと思われる。
今回,尿道下裂と左単睾丸を伴つた,45,XO/46,XY/47,XYY性染色体モザイクの1例を経験した。このようなモザイク例はKlevit et al.1)が1963年に最初に報告しているが,以後の報告例はぎわめて数少ない。本邦での論文は1967年のKurokiら2)の報告に次いで第2例目と思われるのでここに報告する。
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