icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科30巻7号

1976年07月発行

文献概要

原著

末期腎不全患者に対するβ遮断剤(プロプラノロール)の降圧効果

著者: 仁藤博1 弓削順二1 上谷恭一郎1 塚田收1

所属機関: 1東京都職員共済組合青山病院泌尿器科

ページ範囲:P.583 - P.588

文献購入ページに移動
緒言
 propranololが高血圧患者に降圧作用をもつことがPrichard1)により示されて以来,最近多数のβ遮断剤が開発され,種々の高血圧患者に対する効果が検討されている。β遮断剤は,①心筋および末梢血管など循環系への作用,②レニン・アンギオテンシン・アルドステロン系への作用,および ③中枢への効果も推定されるが,いずれも結局は末梢血管抵抗を低下させることで降圧効果を示すものと考えられ,既存の各種降圧剤と組み合わせることにより治療困難な高血圧症に対する新らしいアプローチを可能にするものとして注目されている。
 一方,慢性腎不全に合併する高血圧に対する治療法として,一般に利尿降圧剤の投与やNaの摂取制限あるいは末期には人工透析法などにより患者の体液を適切にコントロールすることによつて満足すべき降圧効果を得ることが多い。しかし,一部の症例(全体の10〜20%あるといわれる2))では,これらの手段では降圧効果が十分でないか,あるいは逆効果さえ示す例のあることも報告された。これらは,一部の本態性高血圧および末期腎不全に伴ういわゆるuncontrollable hypertensionで,一般に血漿レニン活性(PRA)が高く,主にレニンが高血圧に関与しているのでrenin-depen-dent hypertensionともいわれ,両側腎摘除術によつてのみ血圧のコントロールが可能であるとされてきた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら