文献詳細
原著
睾丸胚細胞性腫瘍30例の病理組織学的解析
著者: 花井淳1 奥田暾2 門脇照雄3 本多光弥4
所属機関: 1市立堺病院中検病理 2市立堺病院泌尿器科 3近畿大学医学部泌尿器科学教室 4大阪回生病院中検病理
ページ範囲:P.669 - P.674
文献概要
睾丸胚細胞性腫瘍は,他の悪性腫瘍と異なつて複雑な像を呈するものが多く,古くよりhistoge-nesisおよび組織型分類が研究され,今日ようやく一応の定説が完成しつつある。すなわちDixon&Moore1)あるいはCollins & Pugh2)の分類があり,本邦では大田黒3)が自験例を整理し,病理診断の手引的役割を果して来た。その組織分類の基本はseminoma,embryonal carcinoma,choriocar-cinoma,teratomaの4型とそれらの混合型である。実際多くの場合混合型であつて,1腫瘍中に各種の組織型が併存し,各部分の的確な所見の把握も容易でない。最近,従来embryonal carcinomaとしていたものよりyolk sac tumorを分離し,α-fetoproteinの分泌との関連が報告4)されている。一方,治療の面では,各組織型によつて治療方法に対する効果に差があるとして,根治切除,化学療法,放射線照射を使い分けている。したがつて1腫瘍内に複雑に組織型を合併している睾丸胚細胞性腫瘍については病理診断の決め方も慎重でなければならない。そこで今回睾丸胚細胞性腫瘍30例を用い,病理組織学的検索を行ない,組織型合併の特徴を見い出すべく試みた。年齢別では成人群と幼児群とに別れて中間の小児期は含まれていない。成人群では睾丸胚細胞性腫瘍の組織型合併の様式に興味ある結果を得た。
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