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原著
セラチアによる尿路感染症の臨床的検討
著者: 岸洋一1 高安久雄1
所属機関: 1東京大学医学部泌尿器科学教室
ページ範囲:P.27 - P.32
文献購入ページに移動セラチア(Serratia marcescens)は,土壌,汚水,食物などの自然界に広く分布しており,人体からも分離される。1913年Woodwardら1)が初めて,人体のセラチア感染症を報告したが,近年までこの菌種による感染症はほとんど注目されていなかった。1962年Lancaster2)が尿路感染に対してセラチアがなんらかの病原的役割を果していると強調して以来,セラチアによる尿路感染症に関心が持たれるようになつた3〜5)。最近ではセラチアの尿路分離株が増加しつつあり,尿路感染症起炎菌の一つとして無視できない存在となつている。そこで著者は,セラチアによる尿路感染症の現状を把握する目的で,主として臨床的検討を行なつたので報告する。
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