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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科31巻11号

1977年11月発行

原著

陳旧性神経因性膀胱に伴う高度水腎・水尿管に対する腎マッサージ・TUR併用療法

著者: 増田聰子1 石堂哲郎1 宮崎一興1

所属機関: 1神奈川県総合リハビリテーションセンター泌尿器科

ページ範囲:P.1001 - P.1004

文献概要

緒言
 脊損急性期に尿路感染を防止し,適切な膀胱訓練を行なつた場合にはカテーテルは一切不要となり,生涯上部尿路は正常に保たれる。しかし,長期間経尿道的留置カテーテルが行なわれたり,排尿困難,尿路感染を放置された症例には,しばしば膀胱尿管逆流が合併し,水腎水尿管から慢性の腎不全へと移行する。
 元来,脊損者の水腎水尿管は,膀胱頸部,後部尿道における排尿時の抵抗を除去することが先決であり,VUR防止手術や尿路変更術が先行すべきでない1,5)。この目的のために経尿道的膀胱頸部切除術,外尿道括約筋切開術,陰部神経ブロックまたは切断術が一般に行なわれそれぞれに成果をあげている1,2)。しかしながら中等度から重度にわたる水腎水尿管を有する症例では長期間の尿流停滞,慢性感染の結果,腎盂・腎杯・尿管などの自動的蠕動運動が失なわれ,上部尿路の尿は単に力学的方向に流れる状態になつており,下部尿路通過障害除去のみでは上部尿路の機能不全は是正されない。われわれはこのような症例では膀胱を空虚にした後,双手的に腎部から尿管走行に沿つて膀胱部へ及ぶマッサージを行ない,ついで膀胱部を圧迫し一滴でも多くの尿を排泄させるよう努力させることを試みている。このマッサージを膀胱訓練同様に入念に行なうことによつて著明な水腎,水尿管症の改善を認め,かつVURの消失を見たものを含めわれわれが最近3年間に経験した6症例について具体的に経過を述べてみたい。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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