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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科31巻12号

1977年12月発行

綜説

シスチン尿症

著者: 西村隆一1

所属機関: 1横浜市立大学医学部泌尿器科学教室

ページ範囲:P.1045 - P.1055

文献概要

はじめに
 シスチン尿症は尿路結石を唯一の臨床症状とする疾患にもかかわらず,シスチン結石は尿路結石症の僅か1〜2%と稀であるためあまり注目されなかつた。また,シスチン尿症であることが発見されたとしても従来は有効な治療法がなかつたことも,シスチン尿症と泌尿器科医の関係を疎遠なものにした一因であつた。ところが,Crawhallら(1963,1964)1,2)により D-penicillamineが尿中シスチン濃度を低下させ,シスチン結石の発生防止に有効なことが発見され,さらに,McDonaldand Henneman (1965)3),Crawhallら(1967)4)はD-penicillamine内服でシスチン結石が溶解消失する事実を報告した。いまひとつの大きな進歩は,King(1968)5)によつてα-mercaptopropionyl-glycine(MPG)がD-penicillamineより副作用が少なく,かつ,シスチン尿症における尿中シスチン濃度低下作用がD-penicillamineと同等に有効であることが報告された。すなわち,今日われわれはシスチン結石の再発防止を,さらに結石溶解も可能な有効な治療法を持つたのである。それ故,尿路結石患者の中より,シスチン尿症に原因する症例の発見に努力が払われねばならない。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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