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症例
馬蹄鉄腎を伴つた内臓転位症の1例
著者: 簑和田滋1 岸洋一1 梅田隆1 小磯謙吉1
所属機関: 1東京大学医学部泌尿器科学教室
ページ範囲:P.1089 - P.1092
文献購入ページに移動内臓転位症は先天的に内臓の諸器官が解剖学的に左右転位している状態を称し,紀元前にすでにAristotelesが動物について記載している。本症の人体例についてはMarcellus Lecius (1643)が初めて報告し,本邦では笠原(1885)が初めて臨床例の報告をしている。以来,数多くの報告がなされてきたが,X線検査を含めた集団検診の普及した今日では,本症の発見頻度も増加し,決して稀な症例ではないことが知られるようになつた。本症は種々の合併奇形を伴いやすいことが多くの報告で指摘されているが,泌尿器科領域における合併奇形の報告は少ない。今回われわれは馬蹄鉄腎に腎結石を生じて当科を受診した内臓転位症の1例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する。
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