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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科31巻2号

1977年02月発行

特集 尿路性器癌の化学療法

癌化学療法の現況

著者: 坂野輝夫1 木村禧代二2

所属機関: 1国立がんセンター病院内科 2国立がんセンター病院

ページ範囲:P.103 - P.114

文献概要

Ⅰ.癌細胞および組織選択性を有する新抗癌剤の必要性について
 現在臨床に応用されている抗癌剤のほとんどが核酸合成過程を中心とするDNA,RNA代謝阻害作用をその作用機序とするためにDNA,RNA代謝を中心とした分子生物学的機序による分類も試みられているが,一般的には抗癌剤は第1表のごとく分類されている。
 アルキル化剤は毒ガスとして1854年に合成されたsulfur mastar(Yperit)が,その後リンパ球減少を伴う骨髄障害,胃腸障害などの全身的毒性が存在し,しかもより安定で作用が持続性のびらん性物質としてnitrogen analogulのnitrogen mastardが合成された。これが1942年Yale大学において悪性リンパ腫治療に用いられ,1946年には造血器腫瘍を含む160例の悪性腫瘍における注目される効果が報告された1〜3)。アルキル化剤の作用機序はX線に類似し,染色体のDNAとcross-linkingし,染色体の裂断bridge作用などの染色体異常を招来することにあるとされている。一般的にpoly-functionalなアルキル化剤はmonofunctionalなものに比し作用がnitrogen mustard系物質では50〜100倍強いとされている4)。そしてこの活性基すなわちethyleneimine基を各種の物質に付与し新らしい抗癌剤が開発されてきた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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