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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科31巻2号

1977年02月発行

特集 尿路性器癌の化学療法

腎癌の化学療法

著者: 黒田恭一1 勝見哲郎1

所属機関: 1金沢大学医学部泌尿器科学教室

ページ範囲:P.115 - P.122

文献概要

まえがき
 腎癌の治療法としては,病巣の根治手術が唯一無二の根治療法であることは異論のないところである。また腎癌においては,有転移例で原発巣摘除により転移巣の自然退行が見られた報告が散見され,Garfieldら1)によれば39例の報告例があり,Gonickら2)によれば患腎摘除術後4〜20カ月に発生し,転移巣自然退行の機序については,Grahamらの腫瘍の抗原抗体反応による説が有力視されている。かような理由により有転移腎癌における原発巣摘除手術が肯定される傾向が一部に見られ,また転移巣に対しても,積極的に手術が行なわれる傾向にある。
 しかしながら,原発巣完全摘除不可能の局所拡大例も少なからず存在するので,かような症例に対しては,制癌化学療法あるいは照射療法が主体となり,あるいは手術と併用されている。またハムスター(雄)におけるエストロゲンの発癌性や,ヒトの腎癌が男子に多発し,自然退行が男子に起こりやすいことなどより,腎癌に対するエストロゲンの役割が示唆され,それに基づいて1959年以来プロゲステロンあるいはテストステロン療法が行なわれるようになり,転移巣に対するある程度の有効性が認められている。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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