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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科31巻2号

1977年02月発行

文献概要

特集 尿路性器癌の化学療法

Wilms 腫瘍の化学療法

著者: 近江恵子1 星野龍1 藤生道子1 絹巻宏1 小林登1 土田嘉昭2

所属機関: 1東京大学医学部小児科学教室 2東京大学医学部小児外科学教室

ページ範囲:P.123 - P.130

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はじめに
 Wilms腫瘍は,胎生期の腎の細胞構造を有し,ほとんどすべて腎臓に発生する小児の悪性腫瘍であり,1899年,この腫瘍の自験例7例に文献的考察を加えて報告したMax Wilmsに因んでWilms腫瘍と呼ばれている。しかし,近年,病名に人名をつけることをやめようという動きがあり,Ne-phroblastoma,腎芽腫と呼ばれることも多い。この腫瘍は,小児の悪性腫瘍の中で頻度の比較的多い腫瘍であり,たとえば,1969年より1973年に至る5年間のわが国における小児悪性腫瘍の全国登録(第1表)によれば,白血病,脳腫瘍,悪性リンパ腫,神経芽腫に次いで第5位を占めており,腹部の固形腫瘍の第2位に当る腫瘍であり,小児科領域における重要な悪性腫瘍の一つである。
 Wilms腫瘍が,他の小児の悪性腫瘍の中で特に問題となる理由は,比較的治療に反応しやすいといわれている小児の悪性腫瘍の中でも早期診断と早期治療(化学療法を中心とした)により著しい治療成績の向上を示したためと考えられる。具体的に例を示すと,1920年代のWilms腫瘍の治癒率9%3),1940年代の手術のみの治療による23%4),1950年代の放射線治療との併用による47%の治癒率5),さらに1960年代以後,手術,放射線,化学療法の3者による治療により60〜80%6〜9)と目覚ましい成果を挙げてきているのである。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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