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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科31巻2号

1977年02月発行

文献概要

特集 尿路性器癌の化学療法

睾丸悪性腫瘍の化学療法

著者: 酒徳治三郎1

所属機関: 1山口大学医学部泌尿器科学教室

ページ範囲:P.155 - P.160

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 睾丸腫瘍の90%以上が組織発生上生殖細胞由来germ cell originであつて,多彩な組織型を示す。すなわち生殖細胞本来の性状である造精機構を背景にした様式で癌化したものがseminomaであり,他方,生殖細胞としての多形成能totipoten-tialityを示す個体発生の方向性をもつて腫瘍化したものが胎性癌,奇形癌,成熟奇形腫,絨毛上皮腫などである1)。これらの各腫瘍型の中で,成熟奇形腫のみが良性で,他のすべての腫瘍は悪性である。
 睾丸腫瘍の発生頻度は決して高いとはいえない。しかしながら,他の悪性腫瘍が一般にいわゆる癌年齢と呼ばれる高年齢層に多いのに対し,睾丸腫瘍は20歳台,30歳台の青壮年層に好発するのが特徴である。Wittesら2)によると,睾丸腫瘍は米国で診断される悪性腫瘍の約1%にすぎないが,15〜34歳台の腫瘍としては第4位に位置している。またTwitoら3)によると,睾丸腫瘍は15〜40歳男子に発生する悪性腫瘍では最も多いものの一つであり,その発病率は男子人口10万人あたり年間3.1の割合であるという。さらに彼らによると25〜35歳では全癌死の11.4%を睾丸腫瘍が占めるという。わが国における頻度も同様の傾向を有するが,ただ幼小児睾丸腫瘍は外国に比べて本邦では好発する。しかしながら,伊勢ら4)によれば日本人15歳以下の悪性腫瘍の1.4%を占めるにすぎず,やはり稀な腫瘍の一つといえよう。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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