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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科31巻4号

1977年04月発行

文献概要

手術手技

下部尿管損傷に対する手術—尿管—回腸—膀胱吻合術

著者: 栗川孝1 南光二1 井口正典1 金子茂男1 松浦健1

所属機関: 1近畿大学医学部泌尿器科学教室

ページ範囲:P.307 - P.311

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 尿管の欠損,障害に対して修復する試みは泌尿器科領域の手術としては比較的新しいもので19世紀末以来のものである。修復には本来の尿路を再利用する方法と代用尿路を用いる方法がある。非生物材を用いる工夫は古くから試みられているが,実験的段階でも完全な成功はえられていない1)。今日でも尿管の病態に応じてその対応がなされているが,下部尿管の一部の障害に対してはBoari (1894)創設の膀胱弁尿管吻合法やその他の種々の工夫が発表され臨床で広く行なわれている。しかし,尿管の欠損を補う限界は下部12cmないし15cmの長さにあり,それ以上では代用尿路,特に回腸で補填する方法が一般に好まれている。この方法も19世紀末には実験され,Shoemaker(1906)が始めて臨床例に成功しているともいわれるが,さらに年代が下つてBaum (1954)2),Mooreら(1956)3),Moralesら(1959)4),Goodwinら(1959)5)によつて1950年代に至つて普遍化されて来たものである。この手術法の合理性は①腸管の蠕動が利用できる,②血液供給に富む有基性である,③体液電解質平衡を乱すことが少ない,④腎機能への悪影響が少ない,⑤腸管への支障がない,⑥手術手技がさほど困難でない,などにあるが,欠点として腸管を用いる限り感染がとれない,逆流現象が必発で相乗して腎盂腎炎や結石発生の素因たりうるとも指摘されている6)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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