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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科31巻5号

1977年05月発行

文献概要

綜説

外性器の皮膚疾患

著者: 原田敬之1 籏野倫1

所属機関: 1慶応義塾大学医学部皮膚科教室

ページ範囲:P.383 - P.391

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はじめに
 外陰部は他の部位の皮膚に比して特殊な構造および諸因子を有しているために,多彩でしかも数多くの皮膚疾患を生ずることは周知のごとくである。外陰部の特徴として,1)解剖学的に皮脂腺が豊富であり,エックリン汗腺以外にアポクリン汗腺,さらに特殊な分泌腺が存在する,2)間擦部位であるために,局所の清潔,乾燥が保ちにくい,3)下着などが当つているために,それらの外的刺激を受けやすい,4)屎尿により容易に汚染されやすい。乳幼児,老齢者などで失禁状態にある者では特にこの傾向が強い,5)粘膜部が存在する,6)性行為により,いわゆる性病を生じやすい部位である,などが挙げられよう。これらの種々の因子が複雑に重なることにより,初発の病変が容易に変化し,修飾され,簡単な疾患でさえも診断が困難となることも稀ではない。さらに,外陰部に生じた皮膚疾患に対して患者の無関心あるいは羞恥心のために長期間放置されていたり,不適当な自己療法が行なわれていて,重症となつて初めて医師を受診することも少なくない。したがつて,治療を行なうに当つては,外陰部という特殊な事情を充分考慮した上で正確な診断を下すことがまず必要であり,さらに皮疹の状態に応じた適正で,きめの細かい治療が要求される。
 外陰部に発症する皮膚疾患は非常に多く,それらのすべてをこの限られた紙数に書き尽すことは到底不可能である。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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