文献詳細
文献概要
原著
各種X線学的膀胱癌浸潤度判定法の比較検討—特にバリウムを用いたレントゲンTVによる膀胱透視について
著者: 川野四郎1 工藤惇三1 矢野真治郎1
所属機関: 1国立熊本病院泌尿器科
ページ範囲:P.405 - P.411
文献購入ページに移動膀胱癌の予後を左右するものとして多くの因子が指摘されているが,そのうち癌の膀胱壁への浸潤度は予後の判定だけでなく,治療方針の決定ともあいまつて,きわめて重要であることは論をまたない。
膀胱癌の浸潤度判定には種々の検査法があり,そのうち膀胱鏡検査は最も有用なものではあるが,その客観性,普遍性あるいは再現性よりみて,レントゲン学的検査法も信頼性あるものの1つと考えられる。しかし,各種X線検査法の浸潤度判定の優劣を同一症例について系統的に比較検討した報告は比較的少ない。したがつて,われわれは本症患者における静脈性腎盂撮影(IVP)と単純X線撮影について,その診断的価値を検討するとともに,さらに(1)尿道・膀胱鏡検査,(2)通常の膀胱造影,(3)重複膀胱造影(polycysto-graphy),(4)Double contrast air-Ba cystographyおよび(5)レントゲンTVによる二重膀胱透視を施行し,その所見から癌の浸潤度を推定,これらと手術切除標本の組織学的浸潤とを比較検討したので報告する。
掲載誌情報