文献詳細
原著
Xe-133による陰茎内血流動態の研究
著者: 石井延久1 光川史郎1 松田尚太郎1 白井将文1 中村護2
所属機関: 1東北大学医学部泌尿器科学教室 2東北大学医学部放射線医学教室
ページ範囲:P.521 - P.525
文献概要
ヒトの勃起のmechanismについてはこれまでいろいろの説が述べられてきたが,Conti (1952)1)はヒトの陰茎を解剖学的に検討した結果,陰茎には内腔を自由に変えることのできる構造をもつ動脈および静脈,さらには動静脈吻合が存在することを明らかにした。そして彼はこれら構造よりヒト陰茎の勃起のmechanismを次のように推測している。すなわち非勃起時には血液はこの動静脈吻合を通つて海綿体内には流れないが,勃起時にはこの動静脈吻合が閉じて血液は海綿体内に入り,陰茎海綿体以外の陰茎組織に注ぐ小動脈も収縮するため更に多くの血液が陰茎海綿体内に流れこむ結果となる。更に陰茎海綿体よりの流出静脈も勃起時には内腔が閉じて,海綿体からの血液の流出を妨げ勃起を促進すると説明している。
しかし,Newman(1964)2)はヒト成人および屍体の実験から,血液がある一定量以上陰茎海綿体内に流入すると必ずしも静脈系の閉鎖機構が働かなくとも勃起はおこると説明している。
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