文献詳細
綜説
文献概要
はじめに
神経因性膀胱の病態生理に関しては,先人の努力にもかかわらず,未解決の問題が多数残つている。本症に対する検査法にしても,一般泌尿器科的検査法以外の信頼できる機能的検査法としては,僅かに膀胱内圧測定法が行なわれてきたに過ぎない。これらの検査成績だけで系統的疾患分類や治療法を述べた成書もあるが,臨床上,支配神経が系統別に損傷されることは少なく,ほとんどが不完全損傷である。こう考えるならば,以上の古典的検査法だけで不充分なことは誰の口にも明らかであり,排尿障害の実態を詳しく捉えた治療にも役立つ機能検査法が強く要求される。
最近になつて排尿機構の研究が進み,神経因性膀胱の病態生理も次第に解明されるようになつて,いくつかの新しい機能検査法が登場するようになり,本症の診断と治療法は新しい時代を迎えようとしている。このような現状を考慮して,本稿には一般臨床家も対象にいくつかの機能検査法を取り上げ,測定方法,原理および診断的意義を中心に解説するとともに,私たちの考えを織り込んだ簡単な検討を加えることにした。
神経因性膀胱の病態生理に関しては,先人の努力にもかかわらず,未解決の問題が多数残つている。本症に対する検査法にしても,一般泌尿器科的検査法以外の信頼できる機能的検査法としては,僅かに膀胱内圧測定法が行なわれてきたに過ぎない。これらの検査成績だけで系統的疾患分類や治療法を述べた成書もあるが,臨床上,支配神経が系統別に損傷されることは少なく,ほとんどが不完全損傷である。こう考えるならば,以上の古典的検査法だけで不充分なことは誰の口にも明らかであり,排尿障害の実態を詳しく捉えた治療にも役立つ機能検査法が強く要求される。
最近になつて排尿機構の研究が進み,神経因性膀胱の病態生理も次第に解明されるようになつて,いくつかの新しい機能検査法が登場するようになり,本症の診断と治療法は新しい時代を迎えようとしている。このような現状を考慮して,本稿には一般臨床家も対象にいくつかの機能検査法を取り上げ,測定方法,原理および診断的意義を中心に解説するとともに,私たちの考えを織り込んだ簡単な検討を加えることにした。
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