文献詳細
症例
ヨード造影剤により著明な皮膚障害の発生した1例—経静脈性尿路造影剤における新しい副作用
著者: 久保田進1 兼平千裕1 高山誠1 阿武泉1 黒田敏道1 南条光夫1 原田潤太1 木野雅夫1 新谷陽一郎1 多田信平1 五味誠1 望月幸夫1
所属機関: 1東京慈恵会医科大学放射線科
ページ範囲:P.733 - P.735
文献概要
経静脈性尿路造影(以下IVUと略す)は泌尿生殖器系疾患の診断上きわめて重要かつ必須のX線診断法である。従来76%のヨード造影剤20mlを徐々に注入する方法をとつていたが,ヨード造影剤の安全性の向上により,また鮮明なNephro-gramとPyelogramをえるため,その使用量は増加し,注入速度も速くなつた。現在,東京慈恵会医科大学附属病院においてもアミドトリゾ酸ナトリウムメルグミンを用い,成人では76%,60mlを急速に静注し,ルーチンには直後,5分後,10分後,15分後の4回撮影を行なうことにより情報に富む良好なIVU像を得ている1)。
造影剤の使用により約10%の患者はなんらかの副作用を示し,1:125,000の死亡率を示すといわれている2)。急速大量経静脈性尿路造影では従来報告されている種々の副作用のほかに新しく造影剤による皮膚障害が経験される。われわれの病院では年間,約1,500例のIVUを行なつているが,最近2年間で2例にこの種の副作用を経験し,1例に主治医および患者の協力により比較的病状を詳細に観察することができたので以下に報告する。
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