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パネルディスカッション
先天性下部尿路通過障害の諸問題(myelodysplasiaを除く)
著者: 辻一郎1 小柳知彦1 柿澤至恕2 川村猛3 寺島和光4 福井準之助5 桜井易6
所属機関: 1北海道大学泌尿器科 2国立小児病院泌尿器科 3都立清瀬小児病院泌尿器科 4神奈川こども医療センター泌尿器科 5信州大学泌尿器科 6兵庫医科大学泌尿器科
ページ範囲:P.777 - P.799
文献購入ページに移動辻 小児の下部尿路通過障害が難治性尿感染,続発性尿管逆流,さらに重篤な腎・上部尿路障害の基因として重大なことはよく知られているが,乳幼児期の排尿異常は長く看過されたり誤診されていることが少なくない。通過障害解除後の遠隔成績も結局来院時の腎・尿管障害の程度により,この意味で乳児期の排尿状態の注意深い観察と早期診断,早期治療の重要性が強調される。
先天性の機械的あるいは機能的下部尿路通過障害にはいろいろな形式のものがあり,小児排尿異常の本態把握鑑別診断には各種の泌尿器科的検査と神経・水力学的検査の総合判定が必要であるが,乳幼児に多くの複雑な検査を行なうことは実際問題としてなかなか困難であるうえ,これらの諸検査成績の解釈・判定も人によつてかなりの違いがある。また各論者の先天性排尿異常,ことにいわゆる膀胱頸部疾患や尿道末梢部stenosisあるいは尿道ringについての考え方,定義,診断規準はいろいろであり,さらに同一論者でも時と共に考え方が変遷していることが少なくない。したがつて先天性下部尿路通過障害の病因別頻度,割合は報告によりかなりの差があり,この混乱は当然実際の治療方針選定上の意見の差としても現われている。
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