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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科32巻1号

1978年01月発行

綜説

泌尿器科領域の凍結手術

著者: 長山忠雄1

所属機関: 1千葉県がんセンター泌尿器科

ページ範囲:P.7 - P.16

文献概要

はじめに
 低温を各種医療に利用する考えは,西歴以前からあり,またHyppocratesも氷を出血や浮腫の治療に利用していたという。しかし,生体の局所を凍結させて,その凍結障害を治療に応用しようと試みられたのは19世紀になってからのことである。一方,Cryoという接頭語は,ギリシャ語のκρψοσに由来し,低温とか氷結を意味する言葉で,cryosurgeryという単語が使用されるようになつたのは1930年以後である。本邦では一般にcryosurgeryを凍結手術と訳している。
 泌尿器科領域における凍結手術は1922年Qver-vein1)により試みられている。すなわち雪状炭酸を用い−79℃の低温で膀胱腫瘍の圧抵破壊を試み,乳頭腫を治療したという。その後もMcCra-vey,Smith,Newmanらも同様な方法で膀胱癌の治療を行ない,疼痛の緩解や腫瘍の縮小を認めているが,凍結手術はあまり関心をもたれなかつた。しかし,1961年Cooper2)が液体窒素を使用した凍結装置を開発し,この装置によりparkinso-nismの治療を試み,合併症もなく優れた成績を治めることができたことを報告した。Cooperのこの発表以来,凍結手術は各科領域3)において適応範囲が拡大され,容易に実施できるようになつた。泌尿器系臓器では,前立腺,膀胱,腎が凍結手術の主な対象となる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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