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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科32巻12号

1978年12月発行

手術手技

被膜下腎摘除術

著者: 川井博1

所属機関: 1日本医科大学泌尿器科学教室

ページ範囲:P.1115 - P.1118

文献概要

はじめに
 被膜下腎摘除術については既に1880年にLeForteにより試みられているが,記録としては1900年にFranceを訪れたWilliam Mayoが,Tuffinerの被膜下腎摘除術を見学して報告したのが初めであり,この報告をきつかけにして,米国においても次第に被膜下摘除が普及するようになつたと言われている。今世紀初頭のTuffinerの方法は肥厚した腎被嚢を実質から剥離して被嚢を反転し,腎茎部に2本の腎鉗子をかけて腎茎部を切断するが,腎茎部の結紮は行なわずに鉗子はそのままとしてガーゼにて覆い5〜6日後に鉗子をとり自然止血を期待した。当時としても腎茎部の結紮処理は当然考慮されていたが,膿腎症の症例に行なわれるために腎茎部結紮糸に感染が残る問題があり,術後腎茎部結紮を行なつたために敗血症になつた例などが報告されている。
 その後1914年にはFederoffにより反転被嚢を切除して腎茎部血管周囲をできるだけ剥離し腎茎部を集束結紮する今日の方法が確立されて,本法の安全度が高くなつたと言われる。今日ではこのFederoffの術式が基本となっており,術者によりそれぞれ多少の工夫変法がなされているが,麻酔法,外科技術,化学療法剤の進歩で被膜下摘除術もまったく危険がなくなつたと言える。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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