文献詳細
綜説
文献概要
はじめに
医学の目標はある意味では本態性という名のつく疾患を少なくすることにあるともいえる。高血圧についても,原因不明の本態性高血圧から原因のはつきりしている二次性高血圧を見出しそれら諸原因をとりのぞくことに多くの努力がはらわれてきたが,未だに副腎性,腎性といつた二次性高血圧発見の頻度は全高血圧症例の5〜10%にしかすぎない。その中で腎血管性高血圧のもつ意義はその頻度が全高血圧患者の2%と仮定しても本邦全人口中20〜30万人にものぼること,適切な診断と治療により高血圧を根治しうることなどにあると考えられる。臨床報告されている腎血管性高血圧は残念ながら予期されている頻度と比べて極めて少数例である。この点,泌尿器科医は内科医,外科医と共に本疾患について理解を更に深めることが必要である。
11年前に著者が本誌上で腎性高血圧に関する綜説を発表した時点と比し現在では診断面で腎静脈血中レニン活性比やangiotensin antagonist,治療面ではex vivo surgeryや自家腎移植といつた進歩がみられている1)。今回はこれら進歩にもふれつつ腎血管性高血圧の診断と治療全般に亘つて概説する。
医学の目標はある意味では本態性という名のつく疾患を少なくすることにあるともいえる。高血圧についても,原因不明の本態性高血圧から原因のはつきりしている二次性高血圧を見出しそれら諸原因をとりのぞくことに多くの努力がはらわれてきたが,未だに副腎性,腎性といつた二次性高血圧発見の頻度は全高血圧症例の5〜10%にしかすぎない。その中で腎血管性高血圧のもつ意義はその頻度が全高血圧患者の2%と仮定しても本邦全人口中20〜30万人にものぼること,適切な診断と治療により高血圧を根治しうることなどにあると考えられる。臨床報告されている腎血管性高血圧は残念ながら予期されている頻度と比べて極めて少数例である。この点,泌尿器科医は内科医,外科医と共に本疾患について理解を更に深めることが必要である。
11年前に著者が本誌上で腎性高血圧に関する綜説を発表した時点と比し現在では診断面で腎静脈血中レニン活性比やangiotensin antagonist,治療面ではex vivo surgeryや自家腎移植といつた進歩がみられている1)。今回はこれら進歩にもふれつつ腎血管性高血圧の診断と治療全般に亘つて概説する。
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