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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科32巻6号

1978年06月発行

綜説

血尿と糸球体疾患—特にIgA腎炎を中心にして

著者: 酒井紀1

所属機関: 1東京慈恵会医科大学第二内科学教室

ページ範囲:P.503 - P.514

文献概要

はじめに
 血尿は内科的腎疾患の主要徴候の一つでもある。とくに糸球体腎炎では蛋白尿と共に血尿の有無は臨床上の重要な事項である。従来血尿を主訴とする場合に,顕微鏡的血尿の持続はまず内科的に検索して糸球体疾患を鑑別し,肉眼的血尿では泌尿器科的疾患を疑うことが一般的になつていた。しかし,糸球体疾患のなかにも発症時以外に経過中明らかに肉眼的血尿を認めるものがあることが明らかとなつてきている。
 腎糸球体疾患の解明に腎生検による診断法の確立は螢光抗体法や電子顕微鏡による検索の応用によつて,近年著しい進歩がみられ,腎糸球体疾患が疑われる原因不明の血尿疾患の解析に対して重要な情報源となつてきている。このような背景から,近年注日されてきたIgA腎炎は当初フランスを中心に提唱されてきたが,その後欧米はじめわが国でも臨床病理学的なdisease entityが認められてきている。とくに,この腎炎が腎糸球体に病理学的な特徴をそなえ,臨床的に軽度の蛋白尿と共に血尿を主体とする臨床所見を有していることから,内科的に注目をあつめている。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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