文献詳細
原著
睾丸腫瘍におけるリンパ管造影の診断的価値
著者: 馬場志郎1 村井勝2 実川正道2 畠亮2 田崎寛2
所属機関: 1防衛医科大学校泌尿器科学教室 2慶応義塾大学医学部泌尿器科学教室
ページ範囲:P.565 - P.569
文献概要
睾丸悪性腫瘍は比較的まれな疾患で男子悪性腫瘍のわずか0.5%,泌尿生殖器腫瘍の4%をしめるにすぎない1)。しかし,20ないし30歳台の男子悪性腫瘍の中では最もよく知られた腫瘍であり,その治療は原発巣の切除だけにとどまらず,その組織像によつては初療時のstage診断により後腹膜リンパ節廓清,放射線療法,化学療法などの二次的療法が必要であり,これらの治療をいかに適切に施行するかにより予後が大きく左右されることは言うまでもない。この悪性腫瘍のstage診断として行なわれるものにリンパ管造影があるが,本法はただ単に後腹膜腔へのリンパ節転移の有無を検討するだけでなく,二次的療法として行なうべき後腹膜リンパ節廓清術の手術時の指標として,また放射線療法や化学療法の効果判定上,欠かすことのできない検査法となつてきている。近年リンパ管造影のdiagnostic accuracyについてはいくつかの報告がみられるが睾丸腫瘍に関する報告は本邦では少ない。今回われわれは後腹膜リンパ節廓清を行なつた睾丸腫瘍患者の術前のリンパ管造影所見と廓清されたリンパ節の病理組織学的所見を比較し,本法のdiagnostic accuracyを検討したので報告する。
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