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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科32巻8号

1978年08月発行

原著

圧痛点指圧法による尿管結石疝痛発作の消失についての統計的考察

著者: 田中亮1 樋口照男1 横山博美2

所属機関: 1東芝中央病院泌尿器科 2東京大学医学部泌尿器科学教室

ページ範囲:P.741 - P.745

文献概要

緒言
 前報1)においてわれわれは正常人の90%および15名の尿管結石疝痛発作(疝痛発作と略す)患者全例に腰部第三腰椎肋突起の高さで大腰筋外側縁(D点)近傍に特異な痛みをもつ小圧痛点があること,およびこの圧痛点を正確に強く拇指にて圧した結果,結石の存在部位にかかわらず15名すべてに疝痛発作が速効かつ持続的に消失したことを報告した。その後症例数も増え現在までに疝痛発作で来院した全疝痛発作患者43名にこの方法を用いたところその結果は良好であつた。同時にこの圧痛点は小さいので特異な圧痛の出るように正確に圧すためには患者の体位は腹臥位または側臥位とし,拇指を用いて圧すのが最も能率的で手軽であるが,必ずしも指による圧迫による必要はないことも解つた。また以下の諸点についても注目すべきことであると思われた。(1)D点近傍圧痛点指圧(指圧法と仮称する)によつて疝痛発作患者の疝痛を消失させ良好な自然排石を認めた。(2)指圧法は疝痛消失に対して速効性があつた。(3)疝痛発作時鎮痙鎮痛剤の投与を受けたが疝痛が消失せず,薬剤投与後2ないし10時間経つて来院した患者では投薬を受けずに来院した患者に比べて指圧法による疝痛消失後の疝痛発作の再発率が高く,(4)疝痛消失持続時間も短い傾向が認められ,(5)疝痛に伴つた腹部のはつた痛みや下腹部膨満感(腹部随伴症状と略す)の発生が多く,(6)指圧法後のこの症状の残存率も高かつた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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