文献詳細
綜説
性分化異常—インターセックス
著者: 水谷修太郎1 小出卓生1 奥山明彦1 板谷宏彬1 園田孝夫1
所属機関: 1大阪大学医学部泌尿器科学教室
ページ範囲:P.319 - P.331
文献概要
外見上,男女いずれとも区別のつけ難い状態(in-tersex state)は有史以前から存在していたであろうし,未開の故に,その異形を利しての,巫女やシャマンは集団の指導的な役割を果たしていたかもしれない。Hermaphodite (商業神Hermesと美の女神Aphrodite,Venusとの間に生まれた男子)に泉のnymphが合体したというギリシヤ神話は半陰陽hermaphroditismの語源であつて,絵画や彫刻など,嘆美の対象であり,「男女性器をともに具備する第3の性が存在した」という概念を有していた。Androgynusやgynandromorphも同義語であるが,中間の形態であるという点では,むしろ中性intersexuality なる表現のほうが望ましい。中世の暗黒時代は,「神は中性を嫌う」という意味から,むしろ社会から蔑まれる位置を占めたが,文明の曙は疾患を形態の面から捕えはじめ,Klebs(1873)は,①まず性腺の形態から真性と仮性に分け,②そのうち仮性を性腺に沿つて男性と女性に分け,そして③内外性器を完全と不完全の順に重点を置いた分類をおこなつた。
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