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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科33巻7号

1979年07月発行

綜説

新しい抗癌剤の話題

著者: 塚越茂1

所属機関: 1癌研究会癌化学療法センター

ページ範囲:P.627 - P.636

文献概要

はじめに
 過去四分の一世紀にわたる癌化学療法発展の歴史をふりかえつてみると癌の一次的治癒成績には著しい進歩がみられている。しかし,固形癌に対しては外科および放射線療法がまず選択される治療法であり,化学療法は二次的な治療法として利用されているのが現状である。造血器腫瘍に対しては化学療法がまず選ばれる治療法となつているのに比べると,固形癌治療においては化学療法は腫瘍が播種され転移増殖をおこすのを阻止する意味において大きな意義を有している。
 このような癌化学療法の実情ではあるが,その治療成績に著しい向上がみられてきたのは,1)比較的腫瘍に選択毒性を示す抗癌剤が開発されてきたこと,2)抗癌剤以外の薬品による医療技術が著しく向上したこと,3)新しい薬剤の投与法が開発されてきたこと,4)積極的に癌にとり組む臨床医の数が増えたこと,5)海外との医学交流が容易になつたこと,その他数えればもつと多くの因子を挙げることができよう。しかし,中でも大きな寄与をしてきたのは,宿主側に与える副作用の発現が抑えられかつ抗腫瘍性を発揮する新しい抗癌剤が出現してきたことによるものと思われる(第1表)。しかし,いまだに腫瘍細胞のみに選択毒性を示す抗癌剤はほとんどないといつてよい。正常細胞と腫瘍細胞間のわずかな生化学,免疫学的ないし生物学的差異などを利用する抗癌剤であるから完全に選択毒性をもたせることはきわめて困難であると考えられる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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