文献詳細
文献概要
原著
血液透析用血管移植に関する若干の経験
著者: 日台英雄1 村山鉄郎1 野口和美1 執印太郎1 川田征一2 大西俊正2 池田弓子2
所属機関: 1横浜市立大学医学部泌尿器科学教室 2横浜市立大学医学部第2内科学教室
ページ範囲:P.683 - P.688
文献購入ページに移動1960年,Scribnerら1)によりいわゆる外シャントが発明され比較的安定したblood accessが確保されるようになつてからはじめて長期血液透析が可能となつたものの血栓形成,感染などのためシャント寿命は短く,Cimino,Bresciaら2)による皮下動静脈瘻がこれにとつてかわり,透析人口の75〜85%は所謂内シャントを使用するようになつた3,4)。
しかしながら,皮下動静脈瘻も適当な残存性皮下静脈のない場合や動脈病変の著しいときは手術不能かまたは作つても十分な流量をえることができず,穿刺失敗を生じやすいことなどの他に閉塞,感染,偽性動脈瘤,心不全,steal syndromeなどのため使用不能となるものもみられる。このような場合に各種移植血管を利用したblood accessが近年工夫されるようになつた。われわれも適当なblood accessのない症例に血管移植をこころみているが未だ理想からは程遠い現況である。ここではわれわれの乏しい経験について述べると共に,移植血管を中心としたblood accessの問題点について若干の検討を加え報告する。
掲載誌情報