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腫瘍と免疫(1)—実験動物の腫瘍抗原
著者: 漆崎一朗1
所属機関: 1札幌医科大学癌研内科
ページ範囲:P.27 - P.32
文献購入ページに移動ある物質の抗原性とは,動物にそれを投与して,その動物がnot selfと認識することによつて生ずる免疫応答からその存在を確認できるものであるから,腫瘍細胞の抗原を検出する場合にも,腫瘍細胞あるいはその細胞成分と免疫に用いる動物との組み合せによつてその抗原性を検討することができる。現在,腫瘍細胞はその特異性,細胞内の局在性および生物学的機能から異なつたいくつかの抗原をもつことがわかつてきている。さて実験腫瘍を正常組織の移植と同一視することはできないが,抗原と宿主との関係については移植免疫の知見から示唆されることが少なくない。同体または自家(autochthonous),同系(syngeneic),同種(allogeneic)および異種(xenogeneic)の関係で腫瘍免疫を考察するということである。真に腫瘍に特異的な抗原の存在を実証しようとするならば,種属特異抗原,臓器特異抗原,同種間に認められる組織適合抗原,同系または自家系の正常組織抗原などを完全に除去できる実験系によらなければならないこと,すなわち遺伝的に均一な系,同系または自家系を用いて実証されねばならない。腫瘍特異抗原についてはin vivoに近交系マウスを用いて腫瘍特異移植抗原(tumor specifictransplantation antigen TSTA)の存在が明確にされている1)。
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