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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科34巻10号

1980年10月発行

手術手技

S状結腸導管法

著者: 長久保一朗1

所属機関: 1立川共済病院泌尿器科

ページ範囲:P.939 - P.944

文献概要

はじめに
 尿管S状結腸吻合術は,尿路変更術の一方法として1928年にCoffey1)により発表されて以来,現在もなお施行されているが,電解質の不均衡,尿路感染症の発生などの諸問題が残されている。一方,腸管を空置する回腸導管は1950年にBricker2)により,一般に広く伝えられてから,かなりの年月が過ぎている。しかし,わが国においては,回腸導管の歴史は浅く,術後の長期観察の報告は比較的少ない3) 。回腸導管造設術は,5年,10年と年月を経るにしたがつて,尿が腎臓へ逆流するために,腎盂腎炎の発生をみ,上部尿路の結石の形成,水腎症の発生や腎機能の低下を来す。当院でも,結石の手術や腎臓の摘出を施行した症例もあり,血液透析に移行寸前の症例もある。回腸導管造設術後のこれらの合併症は時には致命的であり,導管の再手術は癒着が強く,困難を極めることが多い。このことより,S状結腸の一部を空置し,尿管をS状結腸紐部(Tenia)で粘膜下を通し,トンネルを形成し,尿の逆流を防止するS状結腸導管造設術が,尿管S状結腸吻合術と回腸導管造設術に代つて注目されつつある。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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