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症例
Adenine phosphoribosyltransferase完全欠損による2,8-dihydroxyadenine結石症例
著者: 長田尚夫1 井上武夫1 平野昭彦1 田中一成1 荻田善一2 磯部正治2 林真一2
所属機関: 1聖マリアンナ医科大学泌尿器科学教室 2富山医科薬科大学和漢薬研究所病態生化学教室
ページ範囲:P.981 - P.984
文献購入ページに移動再発性尿路結石症患者の自然排出結石と手術摘出結石との赤外線分光分析法による解析結果から,それらの化学的組成とが同一であり尿酸および同定不能成分とからなる混合物であるとの報告をうけていた。1979年10月これら結石組成についての再検討により両者とも2,8-dihydroxyadenine結石であると同定された。
2,8-dihydroxyadenineは正常人にはほとんど尿中に証明されない物質であるため,本症例がプリン体代謝異常症である可能性が考えられ,酵素欠損を疑つて検索したところ,adenine phosphoribo-syltransferase(APRT)の完全欠損であることを証明することができた。
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