文献詳細
綜説
文献概要
感染症はしだいに変貌を遂げているが,このような事態は以前の菌交代症の概念のみでは説明できなくなり,やがてopportunistic infectionという言葉が生れるに至つた。菌交代症は化学療法に伴う,新たな耐性菌による感染症であるが,この言葉ができた時代には免疫抑制剤などはほとんど使用されなかつた。それに抗菌スペクトルムも今日のような広域のものは少なかつた。その後,副腎ステロイド剤,抗癌剤,免疫抑制剤などが多く使用されるようになつて広義の免疫不全患者が漸増し,しかも広域抗生剤の大量連用の機会が増し,弁膜置換,臓器移植など高度な手術も行なわれるようになり,これらがあいまつて従来の細菌学や内科学の教科書には記載に乏しかつた,またはまつたく記載がなかつたいわゆる弱毒菌ないし平素無害菌による感染症を生むに至つた。
与えられた課題は日和見感染症であり,これはopportunistic infectionを指すものと思うが,微生物学用語集1)では日和見感染という訳語が採用されている。「症」を加えたことは,結核と結核症の場合にやや似ている。米国でも菌交代症は以前superinfectionと呼ばれたが,最近では狭義にはむしろ菌交代現象を指し,それがclinical diseaseに発展したものが菌交代症clinical superinfectionであるとする傾向にある。
与えられた課題は日和見感染症であり,これはopportunistic infectionを指すものと思うが,微生物学用語集1)では日和見感染という訳語が採用されている。「症」を加えたことは,結核と結核症の場合にやや似ている。米国でも菌交代症は以前superinfectionと呼ばれたが,最近では狭義にはむしろ菌交代現象を指し,それがclinical diseaseに発展したものが菌交代症clinical superinfectionであるとする傾向にある。
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