文献詳細
症例
腎不全症状をくり返した小児の2,8-Dihydroxyadenine結石症の1例
著者: 野呂忠夫1 信原怜子1 荻原正明1 露木和光1 宮島祐1 松岡敏彦2
所属機関: 1東京医科大学霞ヶ浦病院小児科 2東京医科大学霞ヶ浦病院泌尿器科
ページ範囲:P.271 - P.274
文献概要
プリン体代謝経路の一酵素であるadenine phos-Phoribosyl-transferase(A-PRT)の欠損により,正常ならばほとんど尿中に証明されないadenine,8-hydroxyadenineおよび,2,8-dihydroxyadenineの排泄増加がおこり,この2,8-dihydroxyadenineがきわめて難溶性のため,結石を作りやすい。しかし,この物質を主成分とする尿路結石症については,ほとんど報告されておらず,現在までわずか欧米,本邦合せて5例の報告例がみられるのみである1〜4,8)。
われわれは,1976年よりしばしば尿路感染と尿路結石の排出を認め,当初は結石の成分が不明ということであつたが,今回,再検討によつてそれが2,8-dihydroxyadenineであることが判明した1例を経験したので報告する。
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