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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科34巻7号

1980年07月発行

文献概要

症例

尿失禁に対する腟壁形成術の2例

著者: 近藤厚生1 小谷俊一1 筧英雄1

所属機関: 1名古屋大学医学部泌尿器科学教室

ページ範囲:P.681 - P.684

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 成人女性でみつかる尿失禁のタイプは腹圧性尿失禁(Stress incontinence)かurge incontincnceか,またはこの両者の合併することが多い。治療法は発生病因と尿失禁の程度に応じて決定しなければならない。保存的にはalpha adrenergic stimu-lant1)やanticholinergicsの投与,外科的には膀胱頸部の挙上と尿道の延長をはかるMarshall-Mar-chetti-Krantz氏手術2)や内視鏡的頸部挙上術3),更にはprosthesisによる球部尿道圧迫法4)などがある。一方,腹腔内臓器を支持する骨盤底筋肉群の脆弱化のため子宮脱,膀胱下垂を伴う症例ではしばしぼ排尿困難,尿失禁を伴う。この症例に頸部挙上術を企てることは尿道・三角部間の相対的位置関係をより非生理的とし,仮に尿失禁は治癒しても排尿困難の程度は増強するかもしれない。この場合には腟前壁を縫縮し,尿道と三角部の解剖学的関係を元に復帰せしめる腟壁形成術(colpor-rhaphy)が適応となる。強度の子宮脱を伴う際には子宮摘出術が同時に必要である。この手術が適応となつた2症例を尿流動態検査成績と共に報告する。1例はstress incontinence,他の1例はunstable bladderに由来するurge incontinence症例である。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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