文献詳細
原著
Coagulum Pyelolithotomyの経験
著者: 久住治男1 西野昭夫1 三崎俊光1 黒田恭一1
所属機関: 1金沢大学医学部泌尿器科学教室
ページ範囲:P.849 - P.853
文献概要
腎結石手術後の結石再発率がかなり大で,その大部分が結石残存に基づく仮性再発であることは周知の事実である。その対策の1つとして,1943年,Dees1)はfibrinogen溶液とthrombin溶液を腎盂内に注入し,形成されたcoagulum内に小結紺石を捕獲し,一塊として摘除するcoagulum pye-lolithotomyを発表した。その後本法に関する散発的報告が見られたが2〜5),最近に至るまでfibrino-gen製剤の入手困難や,coagulum作製の技術的な面から広く用いられるに至らなかつた。筆者の一人久住は,約18年前他の研究目的で牛fibrinogenを塩析法にて精製する機会があり,約1%fibri-nogen溶液を用いてcoagulum pyelolithotomyを試みたが,得られたcoagulumの強度が低く,当時のわれわれのfibrinogen製品の質的限界からその後の実施を中止した経験を有する。最近fibrino-genが市販され,入手が容易となつたが,Patel(1973)6)はfibrinogen製剤を用い,かつ注入方法にも改良を加え,多数例に本法を実施したことからこの種の報告が再び散見されるようになつた。
掲載誌情報