臨床泌尿器科35巻11号

1981年11月発行

症例

自家腎移植を行なつた腹膜後腔線維症の1例

著者： 玉井秀亀¹ 小川忠¹ 三井久男¹ 長久保一朗¹ 森口隆一郎² 名出頼男² 長谷川昭³

所属機関： ¹立川共済病院泌尿器科 ²名古屋保健衛生大学医学部泌尿器科学教室 ³都立清瀬小児病院泌尿器科

ページ範囲：P.1077 - P.1081

文献概要

緒言
　原因不明の非特異性炎症による後腹膜腔の線維化といわれている腹膜後腔線維症は，比較的稀な疾患とされている。またその診断も困難なことが多く，症状が進んだ時期に見出されることが多い疾患のひとつである。われわれは，本症の無尿を主訴として来院した1例を経験し，手術的に腹腔内に右腎を自家移植し，良好な経過を経た症例を経験したのでここに報告するとともに若干の考察を加える。