文献詳細
手術手技 泌尿器科関連領域の手術
文献概要
はじめに
最近の血管外科領域における進歩は著しく,血行再建の適応範囲は拡がりつつある。これは血行再建のための代用血管の開発と,その手術時の補助手段の進歩工夫に負うところが極めて大きいと考えられる。代用血管と称されているものは広義には生体由来の血管を新鮮保存したもの,薬液による固定保存によるもの(Biograft),また,まつたく人工的に作成された合成高分子材料で作製された人工血管(Synthetic graft)とに大別できる。しかし,狭義には代用血管といえば人工血管を指すことが多い。代用血管の作成の試みは血管縫合術の確立の業績によつて1912年にノーベル賞を受賞したCarrel1,2)による。彼は生体由来の血管,とくに異種ないし同種動脈を血管の代用物として利用しようとするとともにパラフィンでコーティングしたガラス管やアルミニューム管をも血管の代用物として利用しようとしたが,この試みは成功しなかつた。代用血管を開発しようとする試みは1940年代に入つてBlakemore3)やHufna-gelら4)によつて受け継がれた。その後同種動脈の臨床応用が1949年にGrossら5)によつて大動脈縮窄症の治療に使用されたこともあつて,こののち約15年間にわたつて臨床的に使用されたが,移植動脈片に退行変性,血栓形成,動脈瘤様の拡張などが起こることが判明してきたために臨床的には使用されなくなつた。
最近の血管外科領域における進歩は著しく,血行再建の適応範囲は拡がりつつある。これは血行再建のための代用血管の開発と,その手術時の補助手段の進歩工夫に負うところが極めて大きいと考えられる。代用血管と称されているものは広義には生体由来の血管を新鮮保存したもの,薬液による固定保存によるもの(Biograft),また,まつたく人工的に作成された合成高分子材料で作製された人工血管(Synthetic graft)とに大別できる。しかし,狭義には代用血管といえば人工血管を指すことが多い。代用血管の作成の試みは血管縫合術の確立の業績によつて1912年にノーベル賞を受賞したCarrel1,2)による。彼は生体由来の血管,とくに異種ないし同種動脈を血管の代用物として利用しようとするとともにパラフィンでコーティングしたガラス管やアルミニューム管をも血管の代用物として利用しようとしたが,この試みは成功しなかつた。代用血管を開発しようとする試みは1940年代に入つてBlakemore3)やHufna-gelら4)によつて受け継がれた。その後同種動脈の臨床応用が1949年にGrossら5)によつて大動脈縮窄症の治療に使用されたこともあつて,こののち約15年間にわたつて臨床的に使用されたが,移植動脈片に退行変性,血栓形成,動脈瘤様の拡張などが起こることが判明してきたために臨床的には使用されなくなつた。
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