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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科35巻7号

1981年07月発行

文献概要

交見室

前立腺癌患者における病相の数量表示,他

著者: 島崎淳1

所属機関: 1千葉大泌尿器科

ページ範囲:P.706 - P.708

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 上記についての本誌35巻第5号掲載竹内弘幸氏の論文を興味深く拝見しました。病状や検査所見を数量的に表示し,ある時点における症例間の比較をおこなつたり,同一患者の経過や治療による反応をみることができれば報告者間の客観的な評価が可能になるわけで,多くの泌尿器科医が望んでいたことと思います。このようなことは述べやすくして,実際に作るとなるときわめて難しい問題が多いため,尻ごみをすることになるわけですが,竹内弘幸氏が提案を出されたことに敬意を表する次第です。
 癌の経過の多様性ということをみても,前立腺癌はもつともいろいろな経過をとり得ると考えられます。予後とよく相関するものとして,stageやgradeがいわれており,さらには転移形式や癌による他臓器への被影響性,たとえば水腎などが合意されていたといえましよう。ところが本論文では原発部位にあつては量的の大きさを指標とし,転移巣についてはその存在と活動性を含めた障害度をみて生命の余力を算出するようにされています。したがつて同一患者の経過を考えるとき,この価の変動から疾患の増悪をよくみることができましよう。しかし,同一の生命の余力の価を示しているものが,同一の経過をとるかどうかということは別の問題となるわけで,おそらく異なるということが十分予想されます。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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