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原著
ラジオイムノアッセイ法による前立腺酸性フォスファターゼ測定の臨床的評価
著者: 赤阪雄一郎1 大越英毅2 新井芳美2 町田豊平3 三木誠3 南孝明3 木戸晃3 高橋和宏3
所属機関: 1神奈川県立厚木病院泌尿器科 2神奈川県立厚木病院検査科 3東京慈恵会医科大学泌尿器科学教室
ページ範囲:P.871 - P.875
文献購入ページに移動日本人の平均余命の延長,生活習慣の欧米化に伴つて近年前立腺癌患者は漸増傾向にあり,前立腺癌の早期診断,スクリーニング検査としての血清学的診断法の必要性は従来にもまして高まつている。前立腺癌の血清学的診断法としての血清酸phosphataseの測定は,1938年Gutmanら1)により転移を有する前立腺癌患者で高値を示すことが報告されて以来,前立腺癌の診断や治療効果の判定に広く用いられている。従来この酸phosphataseの測定には,L-tartrateによる反応阻害を利用した各種の酵素法が用いられて来たが,病変が前立腺内に限局している場合の陽性率は10〜20%にすぎず2,3),また血清を放置した場合など,酸phosphataseの失活によるfalse-negativeとなる場合があるなど,その臨床的な特異性は必ずしも満足しうるものとは言えなかつた。しかし,最近前立腺組織より抽出した前立腺酸phosphatase (PAP)を用いてradioimmunoassay法による酸phospha-tase(以下RIA-PAPと略す)の直接定量が可能となり高感度の測定ができるようになつた。神奈川県立厚木病院においてもPAP測定をRIA法で1980年7月より実施しているので,その臨床的評価について検討した。
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