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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科36巻1号

1982年01月発行

文献概要

原著

二分陰嚢を伴つた高度尿道下裂の形成手術—特に索切除と陰嚢形成術の同時施行の意義について

著者: 小柳知彦1

所属機関: 1北海道大学医学部泌尿器科学教室

ページ範囲:P.45 - P.50

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はじめに
 尿道口が陰茎陰嚢部より近位に開口し,いわゆるproximalタイプと総称される高度の尿道下裂には,一般の下裂に見られる諸種の変形に加えて二分陰嚢合併が特徴的である(第1図)。周知のごとく尿道下裂の術式に関する記載は数多くあるが,その多くは索切除術(chordectomy)と尿道形成術(urethroplasty)に関するもので,陰嚢形成術(scrotoplasty)まで含めて術式,および意義などを論じたものは少ない。確かにchordectomyとurethroplastyで本症治療の目的はほぼ達成される。しかし,二分陰嚢の状態はそのまま外陰奇形として存続し,陰茎は陰嚢に埋没したままちようど(不完全)陰茎陰嚢転位(penoscrotal transposi—tion)1)ともいうべき状態,あるいは陰嚢が陰茎に蹼(みずかき)状に癒着したいわゆるwebbed penis2)と呼称される変形は残存する(第2図)。これは単に形態的に異常なだけでなく勃起時陰茎が陰嚢の下方に向くという不便さや排尿時尿線が極端に下に傾くという機能的障害の可能性をも残すわけである。元来二分陰嚢を合併するような高度尿道下裂では陰茎腹側皮膚が本質的に不足しているわけで3),これに対しscrotoplastyにて陰嚢皮膚を背側から腹側へ移動させておくことは後の尿道形成術を成功させる点からも有意義なことと思われる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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