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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科36巻2号

1982年02月発行

文献概要

綜説

サイクリックAMP

著者: 横田健1

所属機関: 1順天堂大学医学部細菌学教室

ページ範囲:P.99 - P.109

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はじめに
 サイクリックAMP(adenosine cyclic 3’,5’-monophosphate:cAMP)はヒトから細菌にわたる広範囲の生物で,代謝調節の要となつている物質である。一説によれば,高温高圧,放電の多い原始地球の環境下でATP(adenosine triphosphate)より早く自然合成されるといわれる。それが正しいとすれば,生物共通のエネルギー供給物質であるATPより歴史が古いことになる。しかし,高等動物,原虫,真菌などを構成する真核細胞(eukaryotes)と,細菌の原核細胞(prokaryotes)ではcAMPの働き方に若干の違いがみられ,生物の進化と関連して興味深い。泌尿器科領域ではこの物質が人体のホルモン作用と関係が深いために,生殖機能,免疫応答,腎機能などに大きな役目を持つているほか,感染症の原因となる各種病原細菌の増殖や病原性の強弱とも無関係ではないので,cAMPの働きを簡単に説明することは難しい。ここでは代謝調節物質としてのcAMPの作用機構,各種ホルモンの細胞内セカンドメッセンジャーとしてのcAMPと腎機能の関係などについて概説したい。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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