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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科36巻3号

1982年03月発行

小さな工夫

精液の敏速検査法

著者: 三浦一陽1 白井将文1

所属機関: 1東邦大学医学部泌尿器科教室,リプロダクションセンター

ページ範囲:P.278 - P.278

文献概要

 精液検査は男子不妊症の診療上,欠くことのできない検査法である。しかし,一般にこの検査は面倒視され,とかく敬遠されがちである。また精子の運動率は同一検体でも検者により測定結果が異なり客観的な評価が困難である上に現在の測定法は精子の運動の質がまつたく考慮されていないなどの問題点が内在する。このような現状に鑑み,われわれは精液をより客観的,かつ敏速に測定できるよう工夫し,臨床に応用しているので,その方法について述べる。
 精液は用手法で採り,常温に30分以上放置後,精液の均一化を待つて精液量を測定し白血球計算用メランジュールを使用して生食水で20倍に希釈し,Thoma血球計算盤で精子運動能1)を算定する。すなわち付図に示す血球計算盤の小四分画の任意の一辺上(1mm)を通過するすべての精子を方向は問わず1分間正確に数える。この数をXとする。ついでこの血球計算盤をそのまま−20℃の氷室に約5分間静置して精子の運動を停止させた後,最小80区画内の精子を検鏡,算定しこれをYとする。以上の手順から精子数はY×106/mlとなり精子運動能指数(SMEI)はX/Y×100で表示する。正常人の精子運動能指数は70以上であり,普通示される精子運動率のように検者間の測定値差は少なくほぼ同一の結果が得られる。過去の研究から精子運動能指数と妊娠率との間にはきわめて高い相関があることが光川2)によつて報告されている。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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