文献詳細
症例
Laurence-Moon-Biedl症候群の1例
著者: 大矢晃1 宮形滋1 鈴木誠1 岩田克夫1 菅原博厚2
所属機関: 1秋田大学医学部泌尿器科学教室 2静岡済生会病院泌尿器科
ページ範囲:P.363 - P.367
文献概要
1866年Laurence and Moon1)は,1家系の10同胞中,網膜色素変性,知能低下,肥満,侏儒などを合併した症例を報告した。1922年Biedl2)は,網膜色素変性,知能低下,肥満,多指症を合併した症例を報告し,間脳の発育障害が原因であると主張した。1925年になり,Solis-Cohen and Weiss3)は肥満,知能低下,網膜色素変性,多指症,性器発育不全の5主徴を持つ症候群をLaurence-Biedl症候群と命名した。以来,上記の5主徴のほかに遺伝性を加えた6主徴を持つ症候群がLaurence-Moon-Biedl症候群(以下LMB症候群と略す)と呼ばれており,外国で約400例,本邦で約200例が報告されている。
予後は比較的良好であるために剖検されることは極めて少なく,森近ら4)によると本邦での剖検例は1974年までにわずかに5例5〜9),外国でも数少ないが,死因として腎疾患との関連がかなり注目される。われわれも6主徴を持ち,約2年6ヵ月間透析を行い尿毒症で死亡,剖検を行つた症例を経験したので報告する。
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