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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科36巻5号

1982年05月発行

綜説

抗癌剤の副作用とその対策

著者: 小川一誠1 宮本宏明1

所属機関: 1癌研癌化学療法センター臨床部

ページ範囲:P.401 - P.409

文献概要

はじめに
 現存の抗癌剤は癌細胞のみを選択的に破壊する作用をもたない。すなわち多くの抗癌剤の主たる作用機序はDNA合成阻害であり,よつて無差別に癌細胞,正常細胞を攻撃する。たとえば細胞回転1)の立場より考えてみると,正常の骨髄で生産される幼若細胞の世代時間は多く1〜2日であり,これに対して白血病細胞は2〜3日である。そしてこれに比例してDNA合成期にある細胞の比率は正常細胞の方がより多い。すなわち理論的には正常骨髄細胞の方がより高度の損傷をうける。このように抗癌剤に伴う血液毒性はいわば不可避の毒性である。したがつて抗癌剤を使用するときは毒性がどのように,どの時期に,どの程度出現するかを予測し,これに対する治療手段を十分に計画し,かつその毒性を克服できる自信がないならば抗癌剤を投与すべきでない。無計画に投与すれば毒性による死を招くこととなる。本稿では抗癌剤の毒性(副作用),またそれに影響する背景因子,その治療手段を簡略に記述したい。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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